ラマン分光法とは
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ラマン散乱は、試料と励起光の相互作用によるものです。フォトンによる化学結合の振動により、散乱光に特異なエネルギーシフト(ラマン散乱)が現れます。
ラマン分光法は、試料の化学組成の定性、定量的な情報を得ることができます。
ラマン分光法の特長
- 試料の化学組成情報を得ることができる
- 試料を非破壊、非侵襲で測定可
- 試料の前処理が最小限ですむ
- 液中試料の測定可
- イメージングができる
3次元ラマンイメージングと深さプロファイル
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3次元走査や深さプロファイル走査は、物質の立体サイズの特定や試料中の特定物質の分散観察に非常に有効なツールです。
WITecの共焦点顕微鏡システムは、高い深さ方向分解能と強力なバックグランドノイズの除去が可能であり、高分解能スペクトラムと高分解能3次元イメージング、深さプロファイルの観察ができます。画像は、走査中に1画素ごと、ラインごとに保存されます。試料の深さプロファイルや3次元イメージから、観察深さ方向に沿って解析することが可能です。
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ガーネット中に含まれる液体の3次元共焦点ラマンイメージング (赤: ガーネット、青: 水、 緑: カルサイト、 トルコ石: 雲母)。 走査幅: 60 μm x 60 μm x 30 μm。 -
多層ポリマーフィルムのラマン深さプロファイル (x-z 方向イメージ) :それぞれのスペクトラムに対応 50 μm x 100 μm 走査幅、1200 x 200 画素、 24 000 スペクトラム、1スペクトラムの測定時間: 50 ms -
油(緑)-アルケン(赤)-水(青)のエマルジョンの3次元共焦点ラマン顕微鏡像 30 μm x 30 μm x 11.5 μm、150 x 150 x 23 画素、517,500 スペクトラム 総測定時間: 23分
超高速ラマンイメージング
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高速ラマンイメージング(実時間表示): 760 µs / スペクトラム、 40,000 スペクトラム = 42 秒 / 画像 -
超高速ラマンイメージングでは、わずか数分で完全なラマンイメージングを取り込むことができます。言い換えれば、1つのラマンスペクトラムをわずか760μ秒以下で取り込め、1分間で13000ものスペクトラム測定することができます。レーザーによる損傷を受けやすいデリケートな試料は、弱いレーザーパワーで測定する必要があり、最新のEMCCD検出器と高スループットの分光器の組み合わせによる共焦点ラマン顕微鏡が役に立ちます。 高速ダイナミックプロセスの時間分解測定においても、超高速スペクトラム測定が役に立ちます。
特長:
- 信頼性の高いデータで、総測定時間を短縮
- ラマンイメージングの時間を大幅に短縮
- レーザー損傷を受けやすい試料の測定が可
- 時間分解ラマン測定で高速ダイナミックプロセス測定可 (スペクトラムや画像測定)
WITecの提供する統合ラマン分析システム
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WITecシステムは、モジュール設計により様々なイメージング手法;ラマンイメージング、蛍光、発光、原子間力顕微鏡(AFM)、近接場光学顕微鏡(SNOM)を1台の装置で実現することができます。 測定モードの切替えは、顕微鏡のレボルバーを回すだけの簡単操作です。
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AFMラマン
共焦点ラマン顕微鏡を原子間力顕微鏡(AFM)と組み合わせることによって、試料の化学結合状態と表面形状を簡単にリンクさせることができます。WITecのAFMラマン装置は、これらの2つの補完的な分析技術を提供し試料の特性をさまざまな角度から分析することができるようになります。
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WITecAFMラマン装置によるブレンドポリマーの同一場所像 ラマン(左)、AFM(右)
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SNOMラマン
光学回折限界を超えてラマンイメージを得られるSNOMとラマンの組み合わせは、実験的な要素が多いものの、セットアップ可能です.
SEMラマン
SEMとラマンイメージングの組み合わせは、新しい顕微手法です。SEMによってnmレベルでの表面構造の観察ができ、ラマンイメージングによって同じ観察領域の化学特性を知ることができます。
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RISEで観察した鉱物試料のSEMラマン画像。SEM画像上にラマンイメージを合成表示。 Microscope.
高分解能ラマンイメージングを目指して
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WITecの共焦点ラマン顕微鏡は、面内200nm、深さ方向780nmの空間分解能を有しています。しかしながら、いくつかの特殊なアプリケーションでは、回折限界を超えた分解能でのラマン情報を要求されることがあります。これらの要求を満たすためのいくつかの手法をWITecの顕微鏡システムが1台の顕微鏡で実現いたします。
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SNOMラマンイメージング
SNOMラマンイメージング法は、近接場光学顕微鏡(SNOM)の分解能でラマン分光を行う特殊な手法です。このようにSNOMラマンイメージング法は、超高分解能のラマンイメージを得ることができます。特に空間分解能として100nm以下の分解能を得ることができます。
カンチレバ方式を用いたSNOMシステムと高スループット分光器との組み合わせで、WITecのSNOMラマンシステムは、他の追従を許さない高感度、高画質を1台の装置で実現しています。
原理
励起レーザー光は、SNOMカンチレバの開口部にフォーカスするように照射し、カンチレバ先端に近接場(エバネッセント場)が生じさせます。試料はピエゾスキャナで走査され、透過光を画素毎もしくは、ライン毎に分光してラマンイメージを得ます。透過光の光学分解能は、開口径(<100nm)とほぼ同じとなります。光てこ法を用いたAFMコンタクトモードでカンチレバは、常に試料表面に接触した状態で走査され、表面形状像も同時に取得されます。
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探針増強ラマン(TERS)
探針増強ラマン (TERS) は、回折限界を遙かに超える分解能でラマンイメージングを行える手法です。TERS手法では、表面増強ラマン(SERS)と原子間力顕微鏡(AFM)を組み合わせて使用します。ラマンとAFMの機能を1台の装置で実現しているWITecの顕微鏡システムはTERSに最適なシステムです。
TERS効果は、表面プラズモンと化学共鳴効果に基づき、電場増強によりラマン信号を増強させるものです。TERS効果を起こすために金属コートしたAFM探針を使用します。励起レーザー光は、ラマン増強を得るために金属探針の先端にフォーカスして照射します。そのため横方向の分解能は、探針の曲率に依存します。(10 – 20 nm).
TERS探針にレーザー光を照射する方法は上方、下方の2通りがあります。WITec顕微鏡システムは、両方の励起方法に対応できます。下方照射は透明な試料に対して、上方照射は不透明な試料に対して使用できます。
TERSに関する参考文献は下記をご参照ください。
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